温度計センサーとは、人の五感に頼ることなく何らかの機器や機械類が周辺の温度情報を得てその機器自身を制御するための仕組みを指します。非常に広い意味では、色のついたアルコールなどの液体がガラス管に封入されていて、液面の上昇や下降で温度を知ることのできる寒暖計や、バイメタルと呼ばれる二種類の異なる金属版を貼り合わせ、温度変化によって膨張率が異なるために金属が湾曲することを利用するものも、温度計センサーの一種ではありますが、最近ではこのような仕組みはむしろ古いものとされています。理由は簡単で、最近の機器や機械類は電気で動くものが多く、温度情報を何らかの形で電気的な情報に変換できる仕組みがあれば、機器の自動制御がしやすくなるからです。上に挙げたような寒暖計は、確かに人が自分の肌で気温を感じ取るよりは正確ですが、温度情報は液面の高さとか金属板の湾曲の度合いといったように長さの情報に変換されています。
長さの情報は、人が目で読み取るには問題ありませんが、電気機器を自動制御するには少々やりづらいのです。このように電気に関する情報に変換するための温度計センサーの仕組みは、高校の物理の時間でも習うことはなく、理学や工学系の大学に行かないと学ぶものではありませんから、一般の人にとっては全くブラックボックスかもしれません。実はいくつかこのような仕組みが考案されており、私たちの身近なところで広く用いられています。