対象物に接触させることで計測するのが、温度計の常識でした。そんな当たり前を大きく変えたのが、非接触型温度計です。対象物に触れることなく温度を測れるため、新型コロナでの検温でも使用されるなど、多くの方に知られるようになりました。接触しないのに正確に温度を測れる理由は、赤外線センサーにあります。

あらゆる熱には赤外線が含まれており、このエネルギーの大きさをセンサーで感知して数値化します。そのため、人の体やバスタブに満たしたお湯の温度であっても簡単に知ることができます。この触れないという特徴が最も活用されているのが、産業分野です。様々な工業用機械や産業用機器を稼働させると高い熱が発生します。

接触型温度計だと触れると破損したり、正確な計測をできませんが、赤外線センサーを内蔵した非接触型であれば、簡単に計測できます。また高圧部や高電圧など直接触れると危険な個所の測定にも利用できるほか、食品や医薬品や医療機器など人が衛生面から触れないほうがいいものなどに利用されています。計測結果が出るまでに時間がかかるという接触型温度計のデメリットも解消されました。非接触型なら1秒で測定完了、移動する物体までも簡単に計測できますし、測定者によって違うと行った誤差が生じることもありません。

そのため使用者の熟練度や経験に関係なく、誰にでも扱えます。非接触型温度計は、いつもの計測をより簡単にしてくれる優れものといえるでしょう。